本年は当NPO法人設立5周年の節目となる年であり、これを記念して、横浜市関内の馬車道相生本店のコンベンション・ホールにてフォーラムが開催されました。5年間にわたるNPO活動を振り返り、現在当面する地域の諸課題についてディスカッションし、NPOの今後の役割について考える契機となりました。
フォーラムには、NPOの会員を中心に約50名の地域の方々が参加しました。来賓として坂本連磯子区長、松本研市会議員、並びに社会福祉法人伸こう福祉会・足立聖子理事長の皆様が出席し、祝辞を頂き、また、討論に参加して頂きました。
テーマ：「新しい地域の絆を求めて」 −医療・介護・福祉の連携とNPOの役割−
[1] 基調講演
講師：工藤誠一（神奈川県私立中学高等学校協会理事長、聖光学院中・高等学校校長）
東日本大震災において明らかになった、地域における絆の大切さと、高齢者の福祉の充実の必要性について現地でのボランティア活動の体験を踏まえて提言。工藤先生が個人的に関わっている精神障害児の支援活動の実態も披露して頂きました。
[2] パネル・ディスカッション
司会進行：新井理事長
パネラー：淺木克眞（磯子ロータリークラブ会長）、工藤誠一（聖光学院中学・高等学校校長）、小嶋寛（�螢魯奪好訛緝充萃�役）、清水良夫（�衒唇惰佳緝充萃�役）、相馬民太郎（済生会若草病院病院長）、立川正雄（弁護士）
※五十音順
 
 
 
当日は約５０名の出席があり、活発にディスカッションが行われました。ディスカッションの主な内容は次のとおりです。
【視点】
高齢化が急速に進む中で、地域の中の高齢者を囲む環境は極めて厳しいものがあります。
1)一人暮らし老人の増加
2)老々介護世帯の増加
3)認知症高齢者の増加
などにより、地域の高齢者の孤立化がいわゆる無縁社会の問題とともに大きな社会問題となりつつあります。このような状況の中で高齢者の孤立化をどのように防いでいけば良いのか、様々な角度から議論をする必要があると考えます。
このような大きな課題への取り組みとして、地域の医療・介護・福祉などの諸制度を横断的に連携させる必要性や、町内会・自治会やNPOなど地域の諸団体の協働が必要になると考えます。何よりも東日本大震災を契機に新たに人と人との絆の大切さや人的ネットワークの重要性が改めて提起されておりますが、このような絆をいかに創造し、地域でのセーフティ・ネット（安全網）を地域の隅々までいかに張り巡らしていくかが大事だと思います。
一方、高齢者を単に介護・救済の対象とのみ考えるのではなく、これからは地域の高齢者こそ目標を持ち続けてほしい。仕事や子育てを終わって生きがいを失うのではなく、本当にやりたかったことを始める、学び続けて成長する、そんな人ほど心身ともに健康で長生きもできるという説があります。そんな環境づくりにNPOも一定の役割を果たすことができるのではないでしょうか。
【結語】
地域の高齢者の孤立化を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。そのためには・・・
1)人と人との間の絆を強め、様々な人的ネットワークの網を張り巡らす。
2)縦割り的な制度を横断的に、横に繋げていく努力が何よりも必要ではないか。
3)地域の重要な活動主体である自治会や町内会の役員の高齢化が進んでおり、活動が鈍っている場合がある。もっとNPOや民生委員との連携、特にNPOが地域の中でもっと高齢者の孤立を防ぐために積極的な活動を展開していくことが期待されている。
今までの議論の中で､このような様々な意見が寄せられましたが、いずれにしても地域の中でセーフティネット（安全網）を張り巡らし、高齢者がその安全網からこぼれないような対応や処置がますます大事になってくる一方、地域の中で高齢者が目標と生き甲斐を持って積極的に地域と関わっていくそのためにも、人と人との絆やネットワークがもっと密に形成されていることが必要なのではないでしょうか。そのような中で、NPOの新しい役割が様々な面から期待されていると思います。
パネル・ディスカッション終了後は、会員間の親睦を深める交流会が開催されました。
パーティーの合間には、NPOの会員であり、声楽家の堀部さんや雨谷ご夫妻も駆け付け、新年にふさわしい曲を歌って頂きました。
 
 
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